管理費等の滞納問題
管理費等の滞納は、不法行為・規約違反です。 ここでは、関連した次の3つを説明しました。
1.理事長の責任 2.会計担当理事、監事の責任 3.マンション管理士ができること
築30年以上になると、管理費等の滞納問題が深刻になります。 高齢の単身者、役員のなり手がいない、雨漏りや漏水がふえてきます。
マンションでこのような問題が多くなりました。
マンション管理士事務所 柳澤オフィス
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1.理事長の責任
委託契約が管理費の滞納者への「督促」を3回までで免責に「変化」する内容になっていませんか? この「変化」に気がつかなく、認識できない理事長さんが多くおられます。 管理会社との委託契約の範囲外の業務は、自主管理しなければなりません。 この場合、理事長は、自主的に督促や裁判所に提訴するなどの義務が生じます!
理事長は、区分所有法第28条により、民法の委任に関する規定に従う義務があります。 委任の規定の中身は、主に次のとおりです。
(1)善管注意義務 この管理者の業務としての義務は、区分所有者に対して損害を与えてはならないことを含んでいます。 一般の社会人として、また管理者として要求される注意をしなければなりません。 管理費等の滞納に適用すると、滞納を防ぐ行為を具体的に行うことが含まれます。 何もせず、5年の消滅時効を援用された場合、 管理者の業務を果たせなくなり、管理費を請求できなくなることは許されません。
1)時効を中断するため、民法147条を理解します。
民法第147条(時効の中断事由)の条文 第147条(時効の中断事由)
時効は、次に掲げる事由によって中断する。
①請求
②差押え、仮差押え又は仮処分
③承認
上記の中で③が最も簡単です。 また、①には、支払督促や小額訴訟などがあり、簡易裁判所で説明があります。
2)滞納者が住居を販売した場合、 新しい購入者(特定承継人)から区分所有法54条に基づき徴収します。
3)住居を競売した場合も、上記と同様に徴収できます。
4)滞納者本人が死亡した場合、相続人(包括承継人)から徴収できます。
5)滞納者が自己破産になった場合、新しい購入者から徴収できます。
6)滞納者の所在不明の場合、親戚などから徴収します。
7)上記で徴収出来ない場合や4)で相続放棄された場合、 それぞれ「失踪宣告」の手続きや「相続財産管理人」に依頼できます。
8)管理費等の支払義務を免除する方法もあり、原則、全員合意で実現できます。
9)悪質な滞納者を追放する方法として、区分所有法第59条の適用があります。
10)訴訟を回避し、区分所有法第7条の先取特権の実行もできます。
(2)報告義務 この義務により、滞納者に対しどのような対応を具体的に行ったのか報告します。 総会などで報告できなければ、「義務違反」となります。
上記(1)の1)~10)を理解し理事会で専門委員会を作り、全員で助けあい解決します。
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2.会計担当理事、監事の責任
毎月、管理会社が報告する滞納状況をチェックします。
(1)1~3ヶ月滞納時、滞納者に督促を行います。 金額が少ないとき、効果が出やすいからです。 滞納は、規約違反であり、違法行為であることを理解させます。
(2)4ヶ月以上、1年未満の滞納者を報告できるようにまとめます。
(3)毎月、議事録に滞納状態を確認したことを明記します。 |
3.マンション管理士ができること
上記の内容を知り、概要を理解しただけでは、行動できません。 役員の方々は、会社の仕事や家庭での役割、付き合いなどで時間がないからです。
高額な弁護士費用を支払ってまで、督促をすることが良いのか判断できない。 専有部分を売却すれば、新規購入者から滞納管理費を徴収できそう、とも思われる。 滞納者の登記簿全記録を入手して判断しても、抵当権が設定され、費用の徴収は困難と思われる。
この様な場合、マンション管理士にご相談願います。 管理組合の立場に立ち、マンションの利益となる解決策をご提案いたします。 役員や専門委員会のメンバー全員で助け合えば、継続的に対応できます。
「お問い合せ」ページよりご相談内容を送信願います。無料です。 |
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