マンションの規約共用部分と規約敷地
マンション管理士事務所 柳澤オフィス |
1.マンションの規約共用部分
マンションの建物の部分は、住戸などの専有部分と住民が共用する廊下などの共用部分しかありません。
では、 規約共用部分とは、何でしょうか?
マンションの規約共用部分とは、総会の決議で規約を定め、次の2種類の専有部分を共用部分としたものです。 (1)専有部分(住戸)を規約共用部分としたもの
(2)マンションの建物の中で別棟となっている付属の建物(ごみ置場、倉庫等)を規約共用部分としたもの
この規約共用部分に対して、住民(区分所有者)が共用することが明らかな廊下、階段、エレベーター、 建物の屋根、基礎・土台部分、柱、外壁などは、「法定共用部分」といいます。 マンションの共用部分は、「規約共用部分」と「法定共用部分」の2種類しかありません。
マンションの規約共用部分の例は、次の2種類です。
(1)マンションの住居(専有部分)例えば 101号室を集会室に決めて住民で共用する部分
(2)マンションの付属の建物の倉庫を共用とする部分
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2.マンションの規約共用部分の登記記録
マンションを購入する人のために不動産の取引をします。 その際、登記記録を参照すると、規約共用部分が判明します。 その結果、住民の共用となった住戸で集会室を売買の対象とするミスを防ぐことができます。
実際の登記記録は、上記1.の規約共用部分に対応し、次の通りです。
(1)マンションの住居(専有部分)例えば 101号室を規約で共用部分とした場合 この場合、【表題部】(専有部分の建物の表示)に記録されます。 【建物の名称】 101 余白 ①種類 ②構造 ③床面積 ㎡ 原因と日付 登記の日付 居宅 RC造1階建 78.00 ㎡ 平成25年3月26日新築 平成25年4月13日 余白 余白 余白.余白 平成25年4月20日 平成25年4月30日 規約設定共用部分
(2)マンションの付属の建物の倉庫を共有とする場合 この場合、1棟の建物全体の表題部に次の内容が追加されます。 【表題部】(付属建物の表示) ①種類 ②構造 ③床面積 ㎡ 原因と日付 登記の日付 倉庫 RC造1階建 28.00 ㎡ 平成25年3月26日新築 平成25年4月13日
なお、規約共用部分を登記する場合、登記官は、職権で当該建物について表題部所有者の登記、 または権利に関する登記を抹消しますので、利害関係のある他の権利者の承諾が必要です。
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3.マンションの規約敷地と法定敷地
規約敷地とは、管理しようとする「土地」について、次の2つの条件により、規約で敷地と定めたものです。 (1)マンションの建物と一体となるように敷地を管理できること (2)「建物が所在する土地」とは異なる住所に敷地を定めること
ここで、「建物が所在する土地」は、法定敷地といいます。 マンションの敷地は、この「法定敷地」と「規約敷地」の2つしかありません。 規約敷地の例として、マンションの分譲時の通路や駐車場、付属施設(集会室等)の敷地などがあります。
下図のように、道路を隔てて、マンションの建っている住所と異なる住所に「駐車場」があると仮定します。 駐車場は、建物が建っている敷地と一体となって管理されている場合、規約で規約敷地とすることができます。 ただし、マンションと駐車場が一体的に管理できないほど離れている場合、条件には合いません。
ここで、マンションのような集合住宅(区分所有建物)の土地の登記の基本的なことを説明しました。 登記記録を見ると、「規約敷地」を明確に知ることができるからです。
マンションを購入した人が、敷地を利用する権利を「敷地利用権」といいます。 住戸(専有部分)と敷地とを分離処分できない規約の場合、登記した上記の権利を「敷地権」といいます。 一般的にマンションは、専有部分と敷地とを分離処分できない定めとなっています。 理由は、登記記録を見やすく、管理しやすくするためです。 ただし、簡単に建物と土地をセットにしやすいタウンハウスのような場合、分離処分可能とすると便利です。
マンションの「敷地権」の登記は、1棟の建物の表題部(敷地権の目的である土地の表示)になされます。 その表題部には、次の5つの項目があります。 ① 土地の符号 ② 所在地及び地番 ③ 地目 ここに注目! 次に記録例を示しました。 建物は、①の土地の符号1に③地目で「宅地」となります。 駐車場は、①の土地の符号2へ③地目で「駐車場」と記録されます。 ④ 地積 ㎡ ⑤ 登記の日付
具体的に、次のように記録されます。 ① ② ③ ④ ⑤ 1 〇〇1丁目1番地1 宅地 5,500 ㎡ 平成20年5月2日 2 〇〇13丁目15番地2 駐車場 450 ㎡ 平成20年5月2日
この規約敷地は、規約を改正し、その敷地権を建物と分離することが可能です。
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4.みなし規約敷地
下図の左図は、分筆された2つの土地に建物が所在するマンションを示します。 右図は、3棟のうち、右側の土地に所在する1棟のみが消失し、建物が取り壊された結果です。
上記の建物が消失した右側の土地は、法定敷地となりません。 マンションの建物が所在しなくなったからです。 しかし、区分所有法の法律上自動的に「規約敷地」とみなされます。
同様に、法定敷地を分筆した場合でも、建物が所在しない土地ができることがあります。 その土地も上記と同様に、法定敷地でなくなります。 しかし、この場合も法律上自動的に「規約敷地」とみなされます。
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