マンション長期修繕計画ソフトは、EXCELです!!
マンション管理士事務所 柳澤オフィス |
1.はじめに
長期修繕計画を作成する目的は、主に修繕積立金の額を求めることです。 マンション住まいの方、及び管理組合の役員さんが修繕費用を見積るとき役立つ情報です。
計画を作成できれば、修繕工事費用の累計を上回るように積立金の額を決めることができるからです。 次の図は、標準様式4-3号を修正し、EXCELで求めた収支計画グラフの一部です。
↑上図の場合、修繕積立金の累計が上回っています。
データは、(財)建設物価調査会 総合研究所のデータが大変参考になりました。 資料名は、「マンション改修工事費のマクロ的価格傾向に関する研究(平成20年調査)」です。
次の図は、上記のグラフを求めるために作成したEXCELの入力データの一部です。 国土交通省のガイドラインに従い作成しました。 このEXCELシートは、標準様式4-3号を拡張し作成しました。 使用した単位とデータは、主に「延べ床単価(円/㎡)」・「修繕周期」です。
シートは、次の6枚あります。 シート名 シートの内容 1.basic_data : 会計データ・竣工年を入力するためのシート(basic_data)です 2.repair_data : 次の図に示したシート(repair_data)です。 3.cost_data : 単価:周期データを入力するシート(cost_data)です。 4.cost_data02 : 工事費用を計算するシートです。 5.Graph1 : 収支計画グラフのシート(Graph1)です。 6.Graph2 : 工事費用の比較を円グラフで示したシート(Graph2)です。
図の上部の「部位有無」は、それぞれ1/0 します。 また、「部位数量」は、少数で、「部位面積・長さ」は、㎡・m単位で入力します。
◎図をクリックすると、EXCELファイルをダウンロードできます。
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2.EXCELソフトの「会計」入力データ
積立金は、以降「修繕積立金」を意味します。 この節のデータは、竣工年と合わせて「basic_dataシート」に入力します。 単価と工事周期は、cost_dataシートに入力します。
(1).建物完成年 竣工年 (西暦) 建物の設計図書や販売時のパンフレット等で確認してください。 新築マンションとは、竣工から1年以内のマンションです。
(2).現在の積立金 徴収総額(月額)円 積立金(管理費は除く)の全戸分(非住宅分を含む)の徴収総額です。
(3).現在の積立金 戸当たり平均額(月額)円 上記積立金の徴収総額金額を全戸数で割った額
(4).積立金の残高(前期会計年度末残高)円 前期会計年度末現在の積立金の残高(積立基金を含む) ただし、新築マンションの場合、既に割戻された基金を除く残金の額を入力します。
(5).専用使用料からの積立金への繰入額(年額)円 専用庭等の専用使用料からその管理に充当した残金
(6).駐車場等の使用料からの積立金への繰入額(年額)円 駐車場使用料からその管理に充当した残金
(7).その他の積立金への繰入額(年額)円 その他、積立金の運用益等
(8).借入金の償還金(前期会計年度末、元本残額・利息)円 借入金がある場合は、前期会計年度末現在の残高を入力します。
(9).借入金の返済残期間(前期会計年度末から) 月 前期会計年度末からの返済残期間を入力します。 この期間は、半年分の誤差が生じる場合があります。
【新築マンションの場合に入力します】 (10).積立基金 1)積立基金の総額 円 2)積立基金の割戻期間 年 (5年を標準としています) 積立基金の割戻期間とは、均等積立方式により算定した積立金の額から、積立基金をその期間に割り戻した額を差し引く期間です。 例えば、戸別月当たりの割戻金額は、戸別基金総額 ÷ (割戻期間年数 × 12)により計算されます。 EXCELでは、自動的に割戻期間について積立金を減額させています。 ただし、基金が積み立てられていた場合、既に減額した基金の残金を「積立金の残金」へ入力する必要があります。
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3.EXCELソフトの「建物・設備の概要」に対する制限
計算できるマンションに制限がありますので、注意願います。
(1).マンションの構造 1)RC造 2)SRC造 3)鉄骨造を対象としています(※入力不要です)。 理由は、延べ床単価が、主に、このタイプのマンションを対象に集計されているためです(以降同様です)。
(2).マンションの規模 階数 地上6~8階、地下0 階 戸数(非住宅の区画を含む) 50戸が規模の主要タイプです。
(3).団地型の場合:団地全体の規模(参考) 棟数 1棟、戸数 全20~49戸が主要タイプです。
(4).棟型式 単棟型が約60%を構成するデータを使用しました。
(5).建物の形状 1)建物形状の平面は、板状タイプ。 2)建物形状の立面は、直方体タイプ。 ※「雁行またはセットバック」しているマンションは、対象外です。
(6).廊下方式の選択 方開放廊下方式のみを対象としています。
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4.Excelの「建物・設備等の現状と改修履歴」入力データ
この節のデータは、repair_dataシートに入力します。 単価と工事周期は、cost_dataシートに入力します。 既存マンションについて入力する必要があります。 マンションの共用部分等である建物や設備等の部位ごとの現状(仕様)と改修の履歴を入力します。 ① 建物や設備等の現状(仕様)は、記載事項にご注意のうえ、 設計図書、分譲時のパンフレットなどで確認し、部位ごとの仕様に該当する内容を選択します。 ② 改修の履歴は、項目ごとに、修繕工事の実施状況を入力します。 なお、新築マンションの場合は不要です。 〔注意事項〕 ①改修履歴の[ ]年には、EXCELシートの「直近暦年」へ工事を実施した直近の年(西暦)を入力します。 なお、入力日の年に実施した場合又は実施する予定の場合は、 入力日の年を入力します。 ②入力年において工事を実施し、前期会計年度末までに工事費用を支払っている場合は、 その工事費を1.の「修繕積立金の残高」に加えます。 記載年の前年かつ前期会計年度末以降において工事を実施し、 入力日までに工事費用を支払っている場合は、 工事費用を 1.の「修繕積立金の残高」から差し引きます。 ③工事には、経常的な修繕(ガラスの破損など)、点検・調整、排水管の清掃等は含みません。
なお、「劣化診断」を前提とした長期修繕計画の見直しとなります。
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